以下、オリンピック中継で見たのか、番組改編期によくやる「衝撃映像」で見たのか、今となっては定かではないが、私自身がTVで見たことである。
1.高飛び込み競技
高飛び込み競技の飛び込み台には、高さの異なる踏切板が3段ある。
高飛び込みにおいては、バネのような飛び込み板はない。
3段いずれも、堅い台である。
もっとも高い踏切板に立ち、選手が飛び上がった。
選手は飛び上がると同時に後ろ向きに回転し、膝をかかえて身体を丸めた。
激しく回転しながら落下し、踏み切った1段目の板を越えたところで身体を伸ばして、飛び込みの体勢に移った。
身体が伸びてほぼまっすぐになったとき、2段目の踏切板に選手の後頭部が激突した。
落下のGと回転による遠心力。その二つが後頭部にもろに集中したのだ。
ひとたまりもなかった。
選手はそのままプールに叩きつけられるように水没し、大量の出血でプールの水が真っ赤に染まった。
選手は即死であった。
2.スキー大回転
スイス/ウェンゲン。この町で、毎年1月に「ラウバーホルン大会」というスキー競技会が催される。
1991年の61回大会において、その悲劇は起こった。
1月18日。
クオリフィケイション・ダウンヒル──滑降予選レース──にゼッケン44番で出場したゲルノ・ラインシュタドラー選手(20歳)は、コース最終ゲート近くのジャンプでバランスを崩し、転倒した。
ラインシュタドラー選手はそのまま安全ネットに激突。
片方のスキー板がネットに引っかかり、高速滑走の高いGのため、股が大きく裂けた。
その様子を写していた記録用カメラはコースの反対側、激突したネットの向かい側にあったため、事故の詳細はTVには出なかった。
ただ、ラインシュタドラー選手の周りの雪が、明らかに真っ赤に染まっていた。
(今にして思えば、さすがに近くからの映像は流せなかったのか)
ラインシュタドラー選手はただちにヘリコプターで近くの病院へ搬送されたが、骨盤破損/内臓損傷など腰部中心の重傷及び多量の出血により、19日未明に死亡した。