単品怪談

ちょっとヤバいかも


 あ、もしもしオレオレ。
 ちょっとオレさ、ヤバい事になってるかもしれんでさ。
 あ? あ、もうそっちにも話行ってるか。
 ああ、あいつが車に轢かれてさ。うん。死んだんやけどな。ツレがな、バチが当たったんとちゃうか言うてな。
 うん。バチ。心当たりは……やっぱあれなんかなあ。
 先週な、ミナミに飲みに行って、法善寺横町の水掛不動のとこを通ったんやわ。そん時な、あいつがいきなり、そのへんに落ちとった板切れを持って、水掛不動の苔をガリガリ剥がしだしよってん。
 ビックリしたけど、カッパハゲみたいになった水掛不動が可笑しゅうて、オレはゲラゲラ笑ってたな。






 ほんで昨日もあいつと飲みに出とったんやけど、車に轢かれて……いや、轢かれたちゅうか、引きずられてな。身体の皮、ズル剥けになって、あん時の水掛不動みたいになってしもて。
 オレ? オレは水掛不動になんもしてへん。手前に立ってる小っちゃいやつに蹴りを入れただけで。
 あ、うん、コケてな。頭が取れて、転がった頭がパカッと二つに割れて。
 いや、水掛不動にはなんにもしてへんやん。あんな小っちゃいの、大したことないやろ? なんでオレもバチが当たんねんな。
 いやまあ、言うてもな、なんか気色悪うて、今まで飲んどったんやけどな。なんか全然酔わへんわ。
 ウロウロしとって、あいつみたいに車に轢かれたらシャレにならへんしな。もう帰って屁ぇこいて寝るわ。
 あ、うん、今、地下鉄の駅。
 あ、電車来たから乗るわ。
 ほなな。



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