単品怪談
松の内も明け、成人式もとうに過ぎた頃になって、ようやく初詣に出かけた。 近所にある神社の境内は、すでにいつもの平穏な人の数──要するにほとんどいない──に戻っていた。 社務所により、おみくじを引いた。 中吉 はっはっは。まあ、そんなもんだろう。 おみくじを結びつけようと、あちらこちらを見渡す。 ふと神社の御神木を見上げると、20m近くある木のてっぺんの枝に、ぽつんと何か白くて小さな物が付いているのに気づいた。 目をこらしてよく見ると、 おみくじ が結んであるのだった。